これでいいのか

不動産鑑定士ってどんな資格?ときかれて、「地価公示の評価とかしてます」というと「地下に穴掘って?」「?、それは地下工事だろ」と思うのです。

地下工事は、いや、地価公示はある地点”地価公示地”を決めて毎年1月1日時点の価格を定点観測します。

一言でいうと時点修正しますので、難点があります。一般に土地建物の価格は購入検討者が”総額で3千万とか5千万ならかう!”となると思いますが、地価公示は㎡単価です。

とくにセットバックといって、ざっくり道路幅員が4mないときは市区町村が決めた道路中心線から双方2mずつ下がらないといけません(該当部を市に収めるか道路上にして自分で持っているか。)。例えば、100㎡の土地1000万円の単価は10万円で、これが相場だとします。ところが、セットバック10㎡だと90㎡の土地が1000万円になります。すると単価は111,111円。相場より高くなります(単価10万が実際に使える面積なので取引価格も900万円になるのが相場並み。)。

 

しかし、この補正は国土交通省ガイドライン通り。このような補正を行った不動産取

引の事例を使って算出する公示価格は上振れ、下振れを考えると上振れ方向にしかなりません(単価で公示されますので)。分科会で最初に価格を決めてその価格におっつけるので、公示価格に問題は出ませんが、その取引事例は一般の鑑定評価に流用するため鑑定士協会に納めることになります。

 

いまのところ、大多数の皆さんが”地価公示”で直接関係するところは、地価公示地にご自宅等が設定されてしまうと頼みもしないのに毎年ご自宅の価格がネットで住所付きで見られてしまうことと思います(あと周辺で鑑定評価の案件が出たとき、担当の鑑定士がご自宅をじろじろ見て写真をパシャパシャ撮るくらいです。嫌ですけど。)。

 

ところがこの地価公示価格、相続税路線価にも影響します。相続税基礎控除は5000万円から3000万に引き下げられました。また、相続税1人あたり1000万の控除も600万円に下げられました。ざっくり、一人の相続人に対して6000万円まで税金を払わずにすんだのが、今は3600万円までになったということです。その相続税評価の土地の部分については税理士の方が相続税路線価を使って計算しますので影響します。自宅は条件付きで80%評価減があるのであまり気にしなくてよいかもしれません。

 

「別にそんなに資産ないし」という方。この地価公示価格、固定資産税にも影響します。

そのあたりはまたの機会に。